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「頭寒足熱」という言葉があります。頭を冷やし、足元を温めることが安眠や健康維持につながるという考えを指す言葉ですが、これは学習能力を高める条件としても当てはまるものです。なぜなら頭が冷たい状態だと、脳は “冬”が訪れたと感じ、記憶力や注意力を高めて対応しようとするためなのだとか。
なぜ脳は、冬が訪れると記憶力や注意力を高めようとするのでしょう。それは、古代や原始の人間生活において、冬をしのぐということは大変厳しく、命がけだったことに起因しています。食糧を収穫することのできない冬は、栄養状態が悪化しがちなためにささいなことから体調を崩しやすい季節。
また、明かりも通信手段もない時代ですから、森などに入ってひとたび道に迷ってしまえば、寒さで命を落としかねなかったことでしょう。そのため古代の人々は、冬になるとつねに脳を緊張状態にさせ、体調を崩さないように注意力を高めたり、道を間違えないように記憶力を高めたりしておく必要があったのです。
脳が冬を感じる瞬間は、寒さだけではありません。食糧の少ない冬は慢性的に飢餓状態にあったため、空腹になったときもまた、脳は冬の危機状態を感じ取るのだそう。そのため、通常時に比べて空腹時のほうが、注意力や記憶力が高まっているのだといいます。事実、記憶を担う脳である「海馬」という部分のシナプス(脳細胞同士の接合部)は、空腹状態になるとその数が大幅に増加し、記憶力が高まることがわかっています。
つまり、ここ一番で仕事に集中したいとき、何かを短期間で覚えなければならないときなどは、頭を冷やし、食事は腹八分目にとどめ、おやつも夜食もがまんするのが得策というわけ。もちろん、極端な飢餓状態は脳の機能全体を低下させるものなので、最低限の栄養摂取は心がけておきましょう。