脳と心のエトセトラ

vol.75 好きな相手には尽くす? 尽くされたい?

update:2008.1.25

「相手に尽くすタイプ? 尽くされたいタイプ?」
恋愛の話をしていると、決まって出る話題だといってもいいでしょう。
女性の場合、「好きな相手には尽くしたい」という人が少なくないかもしれませんが、この心理はどこから生まれてくるものなのでしょうか。

“相手に尽くす”という行為には、好きな人に対する献身性を示すものであるのと同時に、尽くすことによって相手からも好かれたいという見返りを期待するものでもあります。だから“相手に尽くす”という行為は、その相手に好かれたいという気持ちから生まれるものだと考えがちなのですが、心理学では、“相手に尽くす”ことでその人を好きだという気持ちが生まれるのだ、と考えられているのです。

ある心理学者が、質問に正解するとお金がもらえるという実験に多くの被験者を参加させました。実験者は終始しかめっ面をしていて、好感のもてない表情をしています。実験が終わり、被験者がお金を持って帰ろうとすると、その実験者が「研究費が底をついているのでできればお金を返してほしい」と頼みます。すると、ほとんどの被験者は実験者に返金したのだそうです。一方、返金を頼まずにそのまま帰らせた被験者もいました。

そののち、頼まれて返金をした被験者グループと返金を頼まれずにお金を持ち帰った被験者グループのそれぞれに、実験者に対する好感度を調べました。すると、返金しなかった被験者からは実験者が好かれていなかったのに対し、返金をした被験者からは好感を持たれている傾向が見られたのです。つまり、研究費のない実験者を助けたという援助行為によって、しかめっ面の相手を少し“好き”になったということ。この結果は、「嫌いな人は援助しないもの」という常識的な概念が逆転して、「援助した人は嫌いではない」という心理を生み出したことを示しているのです。いい換えれば、尽くせば尽くすほど、その相手が好きになるという心理メカニズムがあるということなのです。

意中の相手を振り向かせたいなら、何かを援助したりして尽くすのではなく、頼みごとをして尽くさせる。それが効果的な方法かもしれませんね。

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