脳と心のエトセトラ

vol.65 昼寝を心地いいと感じる理由とは…?

update:2007.11. 1

“昼下がりのシエスタ”・・・うっとりするような響きですよね。まだ日は高く昇り、人々はみなせわしなく動き回っている時間にもかかわらず、少しの罪悪感を覚えながらもベッドに横になって束の間の昼寝を楽しむ。こんなに気持ちいいことはありません。

なぜ私たちは、昼寝を心地いいと思うのでしょうか?それは脳内にいまだに残る、人類誕生のころの遠い記憶に関係しているのだそうです。私たち人類が誕生したのは、灼熱の大地であるアフリカでした。私たちの祖先は、約600万年前にゴリラやチンパンジーといった類人猿から分岐して「猿人」となり、その後、原人、旧人、新人へと進化していく何百万年という過程を、ずっとアフリカで過ごしていたと考えられています。つまり私たちの脳は、熱帯環境に適応したプログラムを備えているというわけなのです。

私たちがついつい昼寝をしてしまう理由は、アフリカの厳しい暑さにあります。アフリカのような熱帯環境では、正午前後の気温は殺人的な高温状態になります。そのため、こうした地域に生息する恒温動物には、朝起きて活動したあと、昼間の数時間は体を休め、正午から3時間ほど経ったらふたたび活動を始めるといった生体リズムを持つものが多く見られるのだとか。1日の活動が、昼間のお休みを挟んだ“2部構成”になっているのです。正午前後の時間帯に活動をすると、体力を激しく消耗し、生命の危機にも瀕してしまいかねないため、熱帯の環境に適応すべく脳内の体内時計が仕組まれたというわけですね。

人類の長い歴史を考えると、私たちがアフリカ大陸を離れたのはついこの間のこと。灼熱の環境下にいなくとも、私たちの脳には今もなお、昼間に休息をとろうとする本能が組み込まれているのです。ランチのあと、ついついウトウトして上司に怒られる・・・といったことがあるかもしれませんが、本当は人類の遠い記憶にしたがっているためかもしれませんね。

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