脳と心のエトセトラ

vol.62 読書の秋を楽しませる、ふたつの脳内回路

update:2007.10.11

だんだん気候も秋らしくなってきました。味覚の秋もいいけれど、読書の秋でもありますね。私たちが本や雑誌などを読むときに何気なく目にしている文字ですが、脳の中ではこの文字を理解するための複雑な回路が存在しているんですよ。

だんだん気候も秋らしくなってきました。味覚の秋もいいけれど、読書の秋 でもありますね。私たちが本や雑誌などを読むときに何気なく目にしている 文字ですが、脳の中ではこの文字を理解するための複雑な回路が存在してい るんですよ。

脳の一部を損傷したなどの理由から、文字が読めなくなる失読症という病気 があります。この失読症の症状には、すべての文字が読めないという症状の ほかに、漢字だけ読めなかったり、かなだけ読めなかったりといった、文字 の種類によって読めない症状もあるのだといいます。こうした症状の治療に 取り組む医師などが、なぜ文字の種類によって読めたり読めなかったりする のだろうという疑問を抱いたのをきっかけに、私たちの脳には漢字を理解す るための回路と、かなを理解するための回路が別々に存在しているのではな いか、と考えられるようになりました。

その後、研究が進み、脳内では文字を読むときに“音”で処理する回路と “意味”で処理する回路、ふたつの回路で処理されていることがわかってき ました。文字が目で認識されると、まず、後頭部のやや下あたりにある「視 覚野」と呼ばれる場所に情報が送られるのですが、そこから“音”の情報は 後頭部にある「後頭葉の中後頭回」という場所をへて言語中枢に届けられ、 “意味”の情報は側頭部にある「側頭葉の37野」を経て言語中枢に届けら れるしくみなのだそう。“音”の回路ではひらがなやカタカナ、アルファベッ トなどが処理され、“意味”の回路では漢字や英単語などが処理されている と考えられているのです。

漢字とかなが別々の脳内回路で処理されているというのは、普通に文字を読 んでいているうえではまず気づくことがないでしょう。しかし、脳内でこの ように複雑な言語処理が行われているからこそ、言葉の意味の広がりや音感 からくるニュアンスなど、文章の“行間を味わう”ことができるのかもしれ ませんね。読書の秋、そんなことを頭の片隅に置きながら本をめくってみて はいかがですか?

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