脳と心のエトセトラ

vol.48 成功を導く “ においの記憶 ” を探そう

update:2007.7. 5

視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚とある五感のうち、嗅覚は最も原始的で本能的な感覚だといわれています。人間が五感でキャッチする情報の9割は視覚情報だといわれ、嗅覚から得る情報は割合としてはごくわずか。しかし、嗅覚は脳にインプットされやすく、感情と絡み合った記憶として長期的に残りやすいのだそうです。

私たちの嗅覚は、生まれて間もない時期はとても敏感です。新生児は嗅覚をもとに、母親とほかの女性を識別していますし、それ以降もさまざまな、快・不快の経験とにおいの関連性を学習し、幼少期の時点でにおいの好き嫌いがある程度確立されていきます。そうして脳にインプットされたにおいの記憶が、ときとしてその人の言動や感情をコントロールしてしまうことがあるのです。

ある実験で、子どもたちに解決が難しい難解なテストを行わせて、そのときに日常生活であまり嗅いだことのない特徴的なにおいを会場に漂わせておくという試みがされました。子どもたちが問題を解決できなかったという経験をしたあとに、別の部屋で簡単なテストを行わせたのですが、そのときに、難解なテストをしていたときと同じにおいの部屋、別のにおいの部屋、何のにおいもしない部屋の3室にわけてテストさせたのだそうです。その結果、難解なテストとおなじにおいがした部屋の子どもたちの成績は、ほかの2室に比べて点数が悪かったのです。別のにおいの部屋とにおいのしない部屋の子どもたちの成績には、大差がなかったといいます。これはつまり、本来はもう少しできたはずのテストなのに、“成功しなかった”という記憶と結びついたそのにおいを嗅いだことによって、実力よりも低い力しか発揮できない状態にコントロールされてしまったというわけなのです。

これは逆に、“成功した”という経験とむすびついたにおいを嗅いで物事に取り組むと、それを成功させやすくなるということにもつながります。そこで、過去の経験を振り返ってみて、何かを達成したときにどんなにおいをかいでいたのか、思い出してみてはいかがでしょうか。そしてそのにおいをここ一番の勝負のときにかぐなどして、成功を導くべく活用してみるといいでしょう。

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