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「脳科学から見た親子の関係」最終回である今回は、子育てによって母親も父親も脳機能が高まっていくというお話をしたいと思います。
題して「子育てママ脳vs子育てパパ脳」。
女性は妊娠すると、妊娠前に比べて五感が鋭くなることがわかっています。たとえば嗅覚。
妊娠すると嗅覚が鋭くなり、妊娠以前は気にもならなかったような些細な臭いの違いにも敏感になります。なぜこのような変化が起こるのかというと、胎児に悪影響をおよぼす危険性のある食物を嗅ぎ分けて避けるため。ちなみに食べ物に対する鋭い嗅覚は、出産後にはなくなってしまうのだといいます。
また、ほとんどの母親が自分の赤ちゃんの声を聞き分けることができたり、泣き声に即座に反応したりすることから、母親になると聴覚も敏感になるといわれています。同様に、子どもを危険にさらさないよう周囲への注意力が高まるという意味から、妊娠している女性は妊娠していない女性に比べて格段に視覚能力が高まることもわかっています
さらに前回紹介したとおり、女性は出産を経るとホルモンの影響によってストレスや恐怖心に対する耐性が高まり、精神的な強さを身につけることができます。つまり女性は母親になることで、鋭い感性とストレスや恐怖に対する強さを身につけ、繊細かつ寛容な“子育てママ脳”を手に入れるようになるのです。
一方の男性も、女性ほどの歴然とした変化はないものの、子育てを経験することによって脳の状態が変わっていくことがわかっています。妻の妊娠中、多くの時間をそのそばで過ごした男性は、妻の出産を経ると男性ホルモンの「テストステロン」の分泌量が通常の3分の1程度に減少するのだそう。これによって男性ならではの競争心や攻撃性が抑えられ、脳内は心優しく落ち着いた“子育てパパ脳”に生まれ変わるのです。この状態は、父親が子どもと長く触れ合えば触れ合うほど続いていくといいます。
子どもを授かることによって、母親も父親も、脳内の状態がガラリと変わります。きっとその変化は、新しい自分自身に出会う大きなチャンスでもあるはずです。今一度、この素晴らしい脳の仕組みに思いをはせながら、親になることの素晴らしさ、親子という存在の尊さについて考えてみるのはいかがでしょうか。