脳と心のエトセトラ

vol.21 “同情する脳”が、社会秩序を作り上げた

update:2006.12.28

「同情」という言葉を聞いたとき、どんなイメージを思い浮かべるでしょう?馴れ合いの関係とか、惨めな気分になるとか、比較的ネガティブなイメージを抱く人も少なくないことだと思います。
でも、この「同情」という感情も脳の機能の一部。そして"同情する"という脳機能は、人間が健全な社会を形成するうえで非常に重要な役割を果たしているのです。

“同情する脳”は、人間が痛覚を覚えたときの脳反応を確かめる実験によって発見されました。

それは通常、人が痛覚を感じるときに活動する脳内の痛覚経路とは別の場所に存在したもので、自分が痛みを感じているときに活動するだけでなく、他人が痛みを感じている様子を見たときにも活動している部位があるのだそうです。つまりこれは、他人の痛みを分かち合っている脳の反応ともいえます。そのためこの機能を担う場所は、「同情ニューロン」と呼ばれているのです。

この「同情ニューロン」は、自分以外のすべての人の痛みを共感するのではなく、家族や恋人、友人といった身近な人物の痛みに対してのみ反応するのだとか。知らない人が痛がっている様子を見ても、「同情ニューロン」は反応しないというのがひとつの特徴です。

なぜ「同情ニューロン」が健全な社会形成に役立っているのかというと、この脳機能が“不正は許されないことだ”という、人類共通の社会通念が生み出される要因のひとつになっていると考えられているからです。大切な人が傷つくのを見ると自分も傷つく、という「同情ニューロン」の働きがあったからこそ、大切な人を守りたいと考えるようになり、そのために社会秩序、正当なルールを作るようになったのです。

そしてそのルールに反したものは罰せられるべきだ、という概念も、「同情ニューロン」の作用にほかなりません。ただしこの“人を罰する”という点については、男女の反応に差があるのだとか。男性は秩序を乱したものに対して厳正に処罰しようとする傾向があるそうなのですが、女性の場合は、罰を受ける人に対しても同情する傾向が強いようなのです。
“同情する脳”にも、男脳と女脳があるのですね。

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