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哺乳類が繁栄し、霊長類から人間が誕生するまでに、私たちの脳はさまざま な要因によって進化を推し進められてきました。そのなかのひとつに、夫婦 形成の方法というものが挙げられます。
生物学的に見ると、夫婦形成の方法は大きくふたつに分けられます。ひとつ はメスに対してオスが1匹、もしくはそれ以上の「一妻制」と、オスが1匹 かもしくは少数であるのに対してメスが多数いる「多妻制」です。人間と同 じ霊長類においても、テナガザルのように一夫一妻制を持つものと、チンパ ンジーやゴリラのように多妻制をもつものに分けることができるのです。
じつは人間 もまた、多妻制の霊長類に分類されるのです。霊長類ヒト科が誕生したころ、 私たちの祖先は多妻制を営んでいたことがわかっています。
なぜ一妻制より多妻制のほうが、より脳が進化したのか。その理由は社会の 複雑性にありました。多妻制社会の場合、立場に上下関係が生まれたり、他 者同士が協調しあったり、気に入らない者は追放したりといった社会が発達 していく傾向があります。こうした複雑な社会関係のなかで生き残るために、 他者とうまくコミュニケーションをとるように努力した結果、脳機能が発達 していったと考えられているのです。
しかし、知能を進化させた人間社会において、多妻制は争いのもとにもなり ます。
そこで生まれた脳機能が“恋”。人間は、視覚や触覚、嗅覚などから自分に とって適切なパートナーであるという情報がインプットされると、脳内には 幸福感をもたらす脳内物質があふれ出し、その人と一緒にいたいという欲望 が湧いてきます。これが"恋"のしくみで、人間以外の生物にはほとんど見る ことのできない脳機能。誰しもが恋をしたいと思うのは、多妻制社会から、 特定の異性をつなぎとめて、安定的な夫婦関係を維持するために脳が進化し た結果なのです。