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運動不足による生活習慣病などが取り沙汰される今日、スポーツは健康増進やダイエットを目的としたものとして捉えられることが多いようです。
しかしスポーツとは、「気晴らしをする」「まじめな仕事から離れる」という意味のラテン語が語源となっていることからもわかる通り、その起源は “楽しい遊び”でした。20世紀初頭の哲学者・ホイジンガーは著名な自著である『ホモ・ルーデンス』のなかで、「人間は遊ぶために生まれてきた」「遊びの精神が人類の歴史を作った」と語っているのですが、スポーツが遊びを起源とするものだと考えると、人間は本能としてスポーツを楽しもうとする存在であることがわかります。
では、なぜ人間はスポーツを“楽しい”と感じるのでしょうか。
争をする楽しさ、運を試す楽しさ、精神的にハイになれる楽しさなど、さまざまな理由が挙げられるのですが、ここで注目したいのは脳内物質の「ベータ・エンドルフィン」です。
スポーツをしはじめて20〜30分ほど経つと、脳下垂体で「ベータ・エンドルフィン」が分泌され、血液中に放出されます。ベータ・エンドルフィンは「脳内モルヒネ」とも呼ばれる物質で、モルヒネのように痛みを和らげる作用を持つもの。そのため、スポーツを頻繁に行うことで「ベータ・エンドルフィン」がたびたび血液中に放出されると、一種の中毒状態になり、スポーツが楽しくてやめられなくなってしまうのです。
わかりやすい例としてはランニング中毒が挙げられます。ランニング中毒とは、1日1時間のランニングを半年ほど継続させた人は、24〜36時間ランニングをしない時間が続くとイライラや不安、不眠といった禁断症状が現れる、という状態。こう説明すると、ランニングをするのが恐いことのように思われそうですが、これこそがスポーツが楽しい、続けたいと感じるメカニズムなのです。大ケガをして戦線離脱したアスリートが、何年もの過酷なリハビリに耐えてでも第一線に復活しようとするのは、生活のためだけでなく、かつて経験したスポーツ中毒の楽しさをもう一度味わいたいという想いが、原動力となっているからではないでしょうか。