2007.1.31
■ 第3回 「もうひとつの成功」
ある一人の青年がいました。
その青年は、幼いときに両親をなくし、
とにかく「完璧な人生」を過ごそうと
必死で勉強し、一流大学をでて、一流企業に入り、
しばらくして起業し、大成功を収めました。
さらにその活動をマスコミが取り上げ、テレビや映画にも出演するようになりました。
そんな彼ですが、ある時、
幼いときから聞こえていた自分の声が聞こえてきました。
その声とは、「自分の人生、何かが足りない」という声です。
彼は、その声を紛らわそうと、さらに上を目指すために、
世界で「一流人」といわれる人たちが集うパーティに参加しました。
彼はどんな刺激があるのか、
楽しみにしていましたが、
その会場にいる一流人全員が仮面を被っていました。
なんとも期待はずれな気持ちでいた彼の目に飛び込んできたのは、
仮面をとった素顔のままでいる一人の紳士でした。
その紳士は、他の人に比べて、発するエネルギーが格段に違い、
パワフルで、やさしく、とても魅力的なオーラを発していました。
青年はその秘訣を知りたくて、その紳士に話しかけます。
「あなたの魅力は、どこから来るのでしょうか」
その紳士はこたえます。
「私も昔、あなたと同じことを考えていました。ここにいけばわかります」
そういって、封筒を一枚青年に渡しました。
その封筒には、
「完璧な人が集まるパーティのご案内」
と記されていました。
青年は、すぐにその中身を見てみると同じ時刻に、同じ建物で、
違う会場で開催されていることがわかりました。
「ありがとうございます」
彼は、紳士に伝えて、すぐにその会場に向かいました。
その会場に足を踏み入れて彼が見た光景は、
同じように人がいて、会場のレイアウトも同じでした。
ただ、前のパーティと違う点が一つだけありました。
それはそこに集う「人」でした。
高価な服や宝飾をつけているわけではないのですが、
全員が仮面をとって、さっき出会った紳士と同様、
無邪気な笑顔で、一人ひとりが、真似ができない
魅力的な存在として輝いていました。
「どうして、この人たちは輝いているんだろう」
青年は不思議に思っていると、
青年のそばに一組の夫婦が近づいてきました。
どことなく、自分の母親、父親に似ている夫婦でした。
とまどいながらいる青年にその夫婦は何も言わず、
一通の手紙を渡しました。
彼は、懐かしい気持ちを感じながら、その手紙を読みました。
すると、青年の目に涙があふれ、その場に泣き崩れてしまいました。
時間が経ち、青年は、
これまで見せることのなかったピュアな笑顔で立ち上がりました。
そばに立っていた夫婦は姿を消していましたが、
青年はその手紙を胸に自分の日常に戻っていきました。
その手紙に書かれていたメッセージは、
完璧を追いかけてきた青年の大きな答えとなったようです。
その後、彼は紳士が放っていたオーラのように、
誰にも真似できないエネルギーを放ち、魅力的な存在として、
時を過ごしたそうです。
その手紙の中にかかれていたメッセージは・・・
「完璧はある意味、楽(らく)なものです。
その場にふさわしい仮面を被れば、完璧でいられるから・・・。
でも、やっかいなことに完璧の基準は、いい意味でも悪い意味でも
歴史とともに、時間とともに、どんどん変わっていきます。
その都度、仮面を変え続けなければならない私たちがいます。
考えてみて欲しい。
素晴らしいもの、ユニークなもの、美しいもの、偉大なもの、
そして心に残るものは、真似から生まれたものではないのです。
仮面を被り続け、自分の素顔を忘れてしまっている人に
どんな魅力があるだろうか。
自分の素顔を忘れている大切なあなたへ。
あなたが、仮面を被ろうが、はずそうが、
いつもあなたを応援しています。
あなたはたった一人の存在です。 」
父、母より
私たちは、心のどこかで、
父親、母親から「存在の承認」をもらいたくて生きている、
と言われます。
でも本当は、期待通りの子どもではなく、
元気にイキイキと生きている私たちを応援しているのが
父親、そして母親の本当の想いなのかもしれません。
ある人にとっては、完璧を目指すことより、
完璧をやめることのほうが、
勇気が必要になるのかもしれませんね。
足達大和