ライフラーニングセンター:コラム

第55回 足達 大和  エッセイ

2006.10.18

■ 第4回 「もう一つの成功」

いかがお過ごしですか。足達です。

今回私が担当しているテーマは、
「もう一つの成功」です。

最初にお伝えしたのは南の島の青年の話、二回目はお姫様のお話、
そして前回は、おじいさんとおばあさんのお話でした。
読んでくださって、ありがとうございます。


最後は二人の若者のお話をお伝えします。


ある国に一人の男性と、一人の女性がいました。


二人は幼馴染で仲良く、お互いに信頼しあえるパートナーとして毎日、楽しく暮らしていました。
しかし、あるとき、隣国で戦争が起きてしまい、男性は戦場にいくことになっていまいました。


出発の日、彼女が涙ながらに伝えました。
『私に「おかえりなさい」って言わせてね』
男性が伝えます。「必ず君に『ただいま』って伝えるからね」


二人は見つめあいながら、グッと手を握り合いました。
そして、これまでにないほど、お互いの存在を確認するように
しっかりと抱き合いました。


男性は何かを言いたそうでしたが、結局は何も言わず、
彼女に背中を見せて戦場に向かっていきました。


月日がたち、彼女のもとに一通の手紙が届きました。
それは彼が戦死してしたことが記された手紙でした。


彼女は悲しみました。
彼女にとって彼の存在は、生きる希望であり、
人生そのものだったことを深く感じ、泣きじゃくりました。


その封筒の中には彼が彼女宛に書いた最後の手紙が入っていました。
震えながら、彼女はその手紙を読みました。


親愛なる君へ

僕は君に感謝している。
君と出会えたから、人を好きになる気持ちがどんなに素晴らしいものかがわかった。
人から信頼される喜びが、どんなに安らぎを与えてくれるかも教えてもらった。


愛する人がいるから、頑張れることも教えてくれた。
そして、人生の幸せとはなにか、その大切なことを教えてくれたのは君だ。


ありがとう。


この手紙が届くということは、僕は、この世にはいない。
もし、生きて帰れたなら、僕はこの手紙をすてて、「ただいま」を伝え、
君の優しい笑顔で「おかえりなさい」の声を聞いていたと思う。


君がこの手紙を読んでいるのであれば、
出発のときに伝えられなかった僕の思いを伝えたい。
それは・・・


手紙を読み終えた彼女は、涙にあふれ、彼からの手紙の最後にある言葉を
しっかりと心で抱きしめました。


その後、彼女は彼からの言葉を胸に秘め、明るく力強く生きていったそうです。
明るく、力強く生きるきっかけになった彼の言葉とは、


生きてほしい、そう思ってくれている君がいるだけで、
 僕の生きる理由になった。


 君にはどんなことがあっても生きていってほしい。


 仕事がうまくいかなくても、失敗したとしても、
 それでも生きていってほしい。


 たとえ人に裏切られたとしても、
 それでも生きていってほしい。


 手が動かなくなっても、
 足が動かなくて、歩けなくなっても、
 それでも生きていってほしいんだ。


 口が利けなくなっても、
 目が見えなくなっても、
 最後の最後まで君として生きていってほしい。

 僕に人生の素晴らしさを教えてくれた君を
 心から愛している


最後に書かれていた彼の言葉は、
愛している」でした。


愛してくれる人がいる、そして愛する人がいる。
それだけで、生きる理由に十分になると私は思っています。


二人の物語にもありましたが、実際に私たちが住む日本でも、
「おかえりなさい」を言いたくてもいえなかった人がいて、
「ただいま」を言いたくても言えなかった人たちがいるわけです。


「おかえりなさい」とあなたに言ってくれる人がいる。
そしてあなたの「ただいま」を聞いてくれる人がいる。
私たちはそれだけで幸せなのかもしれません。


あなたにとって、それは、誰ですか。


「もう一つの成功」
当たり前のことですが、「愛」、そして「生きる」ということです。


手足を使って、目を使って、耳や口を使って、
そして心を使って、しっかり生きていきましょうね。


足達大和

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