ライフラーニングセンター:コラム

第113回 松橋 順子 エッセイ

2007.11.28

■ ■ 第2回 「脱帽!ありがとう!」

街がすっかりクリスマス色に輝きはじめ、
風の冷たさもいよいよ冬本番という感じになってきましたね。
11月は妹の誕生月ということもあって、プレゼントを探しがてら
久しぶりにデパートや街の専門店をみてまわりました。


デパートの地下にいくと
クリスマス商戦、お歳暮商戦ということもあってか、
多くの人でにぎわい、たくさんの試食をすすめられます。
そのうちの一つがめちゃくちゃおいしかったりすると、
あっという間に幸せな気分になったりします。


おいしいものに出合うたびに、思い出す人がいます。
私の母の姉、わたしにとっては伯母にあたる人です。
子供のころの夏休みや冬休みのたびに、その伯母のところで過ごしました。
私にとっては“神戸の母”と呼んでいる人です。


私が働くようになってから、おいしいものを見つけるとすぐに「こんなん見      
つけたよ」と簡単な手紙をつけて、少しだけ、神戸の伯母に送るようになり
ました。


「とっくに知っとたでー。ありがとう」と返事がきたり、
「いやー、おいしすぎてほっぺ落ちたわ。あんた、どないしてくれんの」と
電話がきたり、電話が鳴って「はい、松橋です」と私が出ると、「あんた。
何してんの」と大きな声、「あ、電話に出てます」とあたふたしてしまう
ような“機関銃トーク”の人でした。


伯母からすると「あんたら無口やから」と言いますが、
私や妹、いとこも含めて、あの軽やかで爆発的な話し口調の前では、
「話すに話せなかったなー」と微笑みとともに、ただただ“脱帽!”という感
じでした。


除夜の鐘の“百八つの煩悩”について教えてくれたのも伯母でしたし、
お中元やお歳暮、冠婚葬祭のしきたりなど、
生活の中での基本となることについて、よく知っていて、
いつも私にわかるようにその背景も含めて教えてくれました。
思えば、人としての大切な部分を教わってきたように思います。


何かに迷うときには、「神戸のしきたり伯母さんに聞いてみよう」と
いつも頼りにしていました。
仕事に疲れたり、生きていく中で迷ったりしたときにも、
知らず知らずのうちに神戸に電話をかけていました。


泣きながら話す私の話を聴き終えて、よく伯母が言ってくれました。
「あんた、時薬(ときぐすり)やね」
「やることやったら、考えるだけ考えたら、
あとは時薬(ときぐすり)やで。時間(とき)が解決してくれることもあるん
よ。あとは、ゆっくりしなはれ。ほな、おやすみ」


その伯母に今は電話をすることはできませんが、
おいしいものに出会うたびに、思い出します。


『みっちゃん、おいしい“ぶたまん”見つけたよ』
「あんた、なにゆうてんの。神戸の“ぶたまん”が世界一やで。まー、がんば
 りや」


いつも心の中で、伯母の声が私を励ましてくれています。
                          (第3回につづく)


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